④ 阪和電子工業株式会社

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阪和電子工業株式会社
わかやま働コーナー 企業調査隊 若年者地域連携事業

地域の中小企業への理解を深めてもらうため、
県内大学のキャリアセンターと連携し学生を募り企業調査隊を結成しました。
学生目線で取材し、企業の魅力を発信しています!

取材に御協力頂いた企業は全5社!

阪和電子工業株式会社
半導体評価用測定器の開発・製造・販売やエレクトロニクス制御機器の開発・製造を行っている会社です。

★インタビュアー
和歌山大学 劉 楊銘さん
和歌山大学 江口 創紀さん
取材に行った感想は最下部から!【感想はこちら】

長谷部 功様.jpg
インタビュー:代表取締役 長谷部 巧様
※インタビューの内容は質問をクリック!

 Q1.「2006年4月、経済産業省より『元気なモノ作り中小企業300社』に
選定される」とありますが、モノ作り中小企業が元気とはどのよう
な状態の事だとお考えですか?

 選定基準については選定者が分かると思うんですけど、私の考えるものとしましては、よく「心技体」という話があると思うんですけど、例えば企業にとって「心」の部分っていうのは、経営理念とか経営に対する考え方、「技」の方はその技術的な製品そのもので「体」の方は事業実績とかそういうことがあるかと思います。

うちの場合、特に評価されたのは、例えば特徴ある技術を持ってビジネスを掲げているということです。それで非常にニッチな業界ではあるんですけれど、その中で実績をあげているっていうことが認められている点じゃないかと思います。

あとは将来的なことも考えながら進めているという点です。小さい会社ながらもそういった所が認められたのではないかという風に私は思っております。

 Q2.仕入先、取引先、競合企業などの関連業界を教えてください。

 まずビジネスとしては大きく3つやってるんですけど、自社製品の事業は先程の半導体の検査装置、それと自社ブランドでは静電気の可視化モニターの事業で自社製品をやっています。それとお客さんのブランドの製品をお手伝いするという事をやっております。電子機器の業界でやっておりまして、それぞれ例えば半導体の装置については、半導体メーカーさんがお客さんですね。

また静電気のモニタリングというか新たな事業展開としましては、液晶パネルの生産工程とか、精密機械の生産工程、そういったものに使われております。あと相手先のブランドの商品であれば、あるエリアを除電するような空間をつくるとか、電子カタログ用の自動撮影装置や、選挙用の得票読み取り装置とか、そういったものをお客様の要望に応えて技術的に挑戦しています。

業界という説明になってるかどうかわかりませんけど、電子機器の業界で仕入先さんは主に電子部品の方々のお付き合いが非常に多いです。お客様はさっき言ったような半導体業界とか、そういった生産現場のお客様が多くなっております。

 Q3.仕事をするうえで、一番大切にしていることは何ですか?

 うちの企業理念として、明日の扉を開くという事で掲げております。これは常に時代とともに技術も製品も進化していっています。ものづくり活動をやっていく上で、必要ではないかという風に思ってそれを掲げてやっております。その意味として「自分の考えと力で扉を開いていくんだぞ」っていう事を常日頃心がけてほしいです。個人のレベルでは当然ながら、今までやってきた経験をもとに、新たな事に挑戦していくという考え方があります。またそれを会社のレベルにもっていって、会社の中でも自分らが新しい製品を作っていく。ただその扉は個人では開けられないかもしれないから、みんなの力を合わせてやっていこうという考えです。

その商品を出したら、社会を変えれるようなそういった事にも貢献していきたいというような事で、一歩前に進むというか、自分で考えて自らの扉を開けていってほしい、そういった企業姿勢を大事にしていると言っていいでしょうかね。

 Q4.企業理念の行動指針について教えてください。(利他、感謝、共存
共栄はどう違うのか教えてください)

 行動指針については、普段心掛けてほしいと思っていることを明文化したものです。一番上の題目はご存じだと思いますけど「和をもとめ、活き活きと、清らかに」という事で、みんなの力を合わせて積極的に、しかもルールとかマナーを守っていきましょうというそういう考え方なんですけど、その中で特に「利他の心」これについては僕自身、ものづくりに一番重要なことじゃないかと思っております。

「利他の心」他を利するということなんですけど。例えばものを作るうえで、お客さんの気持ちになって、お客さんを利する為にはどうしたらいいかという事を考えないといけない。より良い製品を作っていく為には、例えば設計するうえでも使いやすい製品はどんなものとか、製品としてずっと長く使って頂く為にはメンテナンスをしやすい製品は何なのか、お客さんに対して安く提供するためには安い部品をどうやって使おうかということを考えないといけない。それぞれ仕入先さんからうちが作るもの、そして販売して頂く方、それぞれの事を考えながらスムーズに流れて行ってこそ、良い製品が出来るのではないかと思っています。

「感謝の心」については、やはりものづくりっていうのは一人では出来ない。一人では出来なくてお互いがお互いの役割をきっちり果たし、それをやることで良い製品が出来上がり、その良いコミュニケーションをとる事が目的なんですけど、そういったことを積み重ねることで感謝の心を持って「ありがとう」ということを、進めていければという風に思ってます。

「共存共栄」については、ものづくりを進めていく上で、例えばお客さんに使って貰って改善点を指摘してもらい、それをフィードバックして良いものを作っていくことで、ある程度長く続けていかないといけないと思います。そのためには仕入先さんがあって、うちがあって販売先さんがあるという話なんだけど、うちだけ儲けたら仕入先さんと一緒に長くは続かないですよね。それも販売店さんのある程度の利益も出さないとこれも長続きはしない。だからお互いがより良くなるように、共存共栄が出来るようなことを考えながらビジネスを進める。そうするとその関係は長く続けられる。長く続けられることで、それぞれの反省点が出てくるわけです。それは繰り返しながら、積み上げながら良いものづくりが出来るということで、我々がものづくりの業界でやっていくためにはこういった事に、気を付けないといけないという風に上げてるものです。

 Q5.会社が今まで出会った最大の困難は何でしょうか?
そして、どのようにその困難を乗り越えていきましたか?

 色んな困難があったかと思うんですけど、一番の困難は実は会社の創業者が、53歳の若さで亡くなったんです。その時が会社としては大変だったんじゃないかという風に思っております。

どうやって乗り越えたかと言ったら、ご夫妻が創業をされていて奥様が継いだんですけど、そのあと幹部の方が総務部、営業部、技術部で3名いらっしゃって、この3名の方との信頼関係が一つ大きな要素があったと思います。

それと信頼関係の賜物だと思うんですけど、その継いだ奥様が最初に行ったのが仕入先様に続けて頂けるかどうかというお話です。それと代理店様に対して販売元に「これからも続けていきたいのでよろしくお願いします」っていう事で、告げに行きました。

当然ながら今までの信頼関係も作り上げてきてましたので「大丈夫ですよ」というようなことも仰って頂いたという事なんですけど、そういった信頼関係が元々あったっということもあると思うのですが、奥様も「自分がやります」と決意して、それで「助けてください、私がやりますので一緒に頑張ってください」という、そういった事をきちんと伝えて、お陰でそんなに大きな問題もなく、継続できたのだと思っております。

あと経営的には自己資金がある程度積み上がっていたという事もあって、銀行さんにとってはそこが信頼の証になりますので、我々の会社は信頼があったというところで、そういう意味では色んな事をしましたが、そのベースには関係者からの信頼関係、信頼感、それを今までどうやって作ってきたかという事だと思います。それと自分自身がやっていくんだという、そういった想いとか、熱意を持っていたからじゃないかという風に思います。

【学生】そうですね、信頼感が一番大切なこと。 そして共に一緒の目標を目指すっていうのも大切なことなのですね。有難うございます。

 Q6.事業について今一番力を入れている事業はなんですか?

 事業というか社内の力を蓄積するという意味では、設計開発力というか装置の開発力ですね。それの質と量を高めるという事をやっていきたいと思っております。例えば採用活動に関しては、今、設計開発エンジニアを中心に、採用活動をすすめております。これについてはある程度の量を拡大していってるという風に思います。

あと設計開発の質って事は非常に難しいんですけど、これについても非常に定義はしにくいんですが、色んなお客様からの要望に応えてチャレンジしていって、経験を積むっていうのが一つの方法ではないかなという風に思ってるわけです。

設計開発力の質と量を上げることで、先ほど話した自社製品事業について、最先端のところとお付き合いしていますので、そのリクエストに応える為の技術を上げていくことができます。あとOEMとしてお客様のブランドの製品も扱っていますが、そのOEMのお客さんの考えてる事とお客さんのやってる事業ってなかなか分かりにくいところがあります。そちらからの新たなリクエストに応えながらやっていくことで、そこである程度の質を上げていけるのかなと思っています。その事業に関わらずOEM事業の培った技術を自社製品にも活かせるし、自社製品で培った技術もOEM事業に活かせるっていう事が出来るという風に思っております。そういう事で製品開発力の質と量というところに今力を入れています。

【学生】半導体が今どんどん使用が増えてる中で、お客さんの要望ってどんな要望が最近増えていますか?

検査装置に関して言えば、半導体ってご存じですよね。

【学生】パソコンを扱っています。半導体の塊です

デバイスですよね。要は今半導体のデバイスの破壊検査装置を最初やっていて、それから解析装置をやりだしているんですけど、どんどんどんどん時代が進んで、その半導体デバイスもますます小さくなってきてます。そういう状態になってきて、今度は色んな半導体を集めて実証した基板自身が小さくなりすぎて、その実証した基板を検査しないといけない。静電気破壊の体力を測定するため検査をしないといけないというそんな時代になってきて、デバイスだけではなくてそれを実証したモジュールの単位での検査が必要となってきているので、それに対応して検査装置の開発を進めてきております。実績としても一台、二台出してます。

時代が変わったらその検査対象もそうですけど、そういった検査技術もきっと変わってくのだろうと思います。どう変わっていくかはちょっと予測がつかない部分があるんですけど。

【学生】検査しないといけない物が要望の方に影響してきている。

影響してきているという事です。そういう意味では半導体のメーカーではなくて、部品メーカーからのリクエストがあったりして、昔は半導体だけ作っているとこだったのですが、その半導体を使ってある程度のモジュールを部品として作っているような所からも検査をしてほしいとリクエストも出てきているのが今の動向の一つです。

【学生】有難うございます。

 Q7.今後の事業展開について教えてください。

 今後の事業展開としましては、自社製品事業の先程の半導体用の検査装置があります。これについて半導体の需要は、今よく5GとかIODとかビッグデータ、AIがありますけど、全て半導体をベースに構築されている世界です。日本政府もデジタル化というふうになってますが、全部半導体がベースになっております。

そういう意味で半導体の分野は、これから堅調に伸びるかどうかは分かりませんが、消えることはないです。しかも技術的に進化し続けていくだろうという風に思っております。その分野で時代についていくという事は、最先端のヨーロッパの技術部隊と連携しながら、最先端の技術をそこでキャッチアップして、リクエストに応じたものを作ったりしていますので、新製品をそこに投入していくという事で、その分野では新たな製品を開発しながら、その事業を展開して企業化していこうと思っております。

その一本の事業だけでは中々経営的には心もとないということもありますので、先程の別の自社ブランドの製品の静電気のモニタリングについても、コストダウンを図るとか、センサーの精度をあげるとか、そういうような事で製品のラインナップを広げていきたいという風に思っております。

あともう一つの相手先のブランド事業のOEM事業。これについても色んなお客様からリクエストがありますが、地域の企業さんと連携して、その企業さんに貢献できるという事でやっております。そこでもうちの技術を活かしながらラインナップを広げていって、事業として安定していけるようになればいいなという風に思っております。

今後、自社ブランド事業中心ですけど、自社ブランド事業と、自社ブランドでは二本位の柱と、OEM事業でも一つの柱を作っていきたいという風に考えております。

【学生】有難うございます。

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インタビュー:開発部 電気設計開発課 坂下 雄大様
※インタビューの内容は質問をクリック!

 Q1.実際の仕事内容(普段の仕事のスケジュール)を教えてください。

 仕事内容といたしましては、CADを使って電子回路設計と基板のアートワーク設計、あと試作の動作検証などを行っています。

 Q2.仕事をするうえで一番大切にしていることは何ですか?

 与えられた仕事をただ単にこなすだけではなくて、常にどうやったらより良いものが出来るかというのを念頭において作業をしています。例えば回路図なんかですと、書いた本人だけじゃなくて他の人が見ても分かるように、分かりやすい回路図を書くように心掛けたりそういった事をしています。

【学生】有難うございます。

 Q3.BtoBビジネスで、あまり一般消費者とは繋がりがないと思うんですけ
ど、どこで阪和電子工業さんをお知りになってこの会社に入社されたの
でしょうか?

 大学の研究室で半導体に関する研究を行ってまして、その知識を活かせる場所で働きたいと思って、就職活動中に阪和電子工業を見つけて、それでこの研究室で得られた知識を活かせるかなということで入社いたしました。

【学生】有難うございます。

 Q4.学生時代を振り返ってみて、学生のうちにやっておくべきだと思う事は
何だと思いますか?

 社会人になってからはやっぱり日々勉強というか、新しいことを知る機会が多いので、勉強する癖をつけておくと言うか新しく学んだことを定着、そして次に活かせるような、そういうことを身に付けることが重要だと思います。

【学生】有難うございます。

取材の感想
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☆劉 楊銘さん
この度は取材をさせて頂き有難うございました。
阪和電子工業株式会社は、半導体評価用測定器の開発・製造・販売、エレクトロニクス制御機器の開発・製造を行っている会社です。
阪和電子工業株式会社の長谷部社長への取材を通じて、会社メンバーとの間の信頼関係を築くことは、会社が成功の道にたどるまで不可欠な条件だということが凄く勉強になりました。
特に長谷部社長との会話の中で、長谷部社長の「チャレンジする心・謙虚な心・利他な心・感謝の心・共存・共栄の心」という行動指標はとても素敵な指標だと思いました。
いつも時代の変化を捉えて、より良い社会の実現に貢献するというこのような企業家の精神にとても感動しました。これからも良い社会を実現する斬新的な製品や技術が楽しみです。

☆江口 創紀さん
半導体用の静電破壊自動測定器というニッチなものを開発されています。今後5GやIoTの普及でますます半導体の需要が高まっていくことが予想されますし、それに伴って半導体検査の需要も高まっていくことでしょう。阪和電子工業さんはこれからも凄く成長が期待できる企業さんのように思いました。

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